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2009年05月06日 [ 第6回 ]

 コゲラ

 

 コゲラ

 分類     :キツツキ目 キツツキ科

 全長     :15.0cm

 翼開長    :26.0cm

 分布     :全国で留鳥または漂鳥。

 生息地    :平地〜山地の林など。

 食性     :雑食/昆虫、蜘蛛、木の実など。

 DATE(撮影日) :2009年3月26日

 TIME(撮影時間) :10時42分55秒

 SHUTTER(シャッタースピード) :1/1000秒

 APERTURE(絞り値) :F11.2(絞りリングはF4)

 EXPOSURE MODE(撮影モード) :MANUAL

 FOCAL LENGTH(焦点距離) :600mm(換算900mm)

 ISO(ISO感度)   :1600 

 使用カメラ  :NIKON D40

 使用レンズ  :NIKON ED AF NIKKOR 70−300mm1:4−5.6D

     NIKON Teleconverter TC−201 2×

 撮影地     :大阪府 


 「キツツキ」という名の鳥は分類上存在しない。
 アカゲラという種が俗にキツツキと呼ばれている。
 キツツキ科の仲間は縄張の中を定期的に周回しており、毎日同じ時間帯に同じ場所に現れるとされ るから、待ち伏せすれば撮影しやすいと言える。 木の幹に垂直に止まり、よじ登りながら突いて回る。  餌となる虫を突き出すのが目的だが、早いテンポで突くドラミングは縄張を主張するためのデモンスト レーションだ。 この音は遠くまで響くので、もし聞こえたら居場所は見付け易い。

 コゲラは日本のキツツキ科の中では最も小さく、スズメ大だからすぐに見分けられる。 雌雄ほぼ同 色で、雄の後頭部には赤い羽根があるが、普段は隠れているので雌雄の見分けは付きにくい。 ギー ッとドアが軋む様な声で鳴く。 比較的警戒心が薄く撮影は難しくない。 10年ほど前に大分県で初め て見て以来久々の再会だった。 撮影は今回が初めてだ。

 15年ほど前に岩手県でアカゲラを撮影した事があるが、西日本ではまだ見た事がない。 ヒヨドリよ り少し小さく、ムクドリ大だ。

 極めつけは7年ほど前に北海道で一度だけ目撃したクマゲラだ。 サシバと同ランクの絶滅危惧U類 であり、国の天然記念物だ。 現存する日本のキツツキ科の中では最大で、ハシボソガラスに近い大 きさだ。 その時は残念ながらカメラを持っておらず、仕事中で撮影出来なかったのが痛恨の極みだっ た。

 ところで、レッドリストの2006年版カテゴリーを整理すると以下の通りだ。

 絶滅(EX)             :リュウキュウカラスバトなど13種

 野生絶滅(EW)          :トキ1種

 絶滅危惧TA類(CR)       :コウノトリなど21種

 絶滅危惧TB類(EN)       :イヌワシなど32種

 絶滅危惧U類(VU)        :タンチョウなど39種

 準絶滅危惧(NT)         :オオタカなど18種

 情報不足(DD)          :ヘラサギなど17種

 絶滅のおそれのある地域個体群(LP):青森県のカンムリカイツブリ繁殖個体群など2種

 合計143種

 実に錚々たる面々である。
 これらの中には特別天然記念物や天然記念物に指定されているものが少なくない。 しかし必ずしも 指定されている訳ではなく、外国では希少でない場合もある為と思われる。 個体数の増減により希少 性との整合性が変遷してしまったケースもあろう。 レッドリストが環境省、天然記念物が文化庁という 縦割り行政とは無関係だとは思うが…。

 ちなみにキツツキ科でレッドリストに載っているのは、キタタキ(EX)、ノグチゲラ(CR・特別天然記念 物)、ミユビゲラ(CR)、クマゲラ(VU・天然記念物)、オーストンオオアカゲラ(VU・天然記念物)の4種 1亜種だ。 キタタキ(朝鮮半島・日本産亜種)はクマゲラより大型で、1920年頃までは対馬に生息し ていたとされる。 日本では絶滅したが朝鮮半島では少数が健在らしい。 トキのように有名で全国的 に分布していた鳥なら飼育されたかも知れないが、残念ながら知名度が低く復活の動きはない。 限り なく妄想に近い仮定の話だが、もしも「キタタキ保護センター」が実現すれば晴れてキタタキもEWの仲 間入りだし、奇跡が起きて自力で朝鮮半島から対馬に飛来すれば絶滅種の復活だ。 人工飼育となる と捕獲が前提条件となるので最後の手段であり夢物語だが、完全な絶滅種と違い復活の可能性がゼ ロではない以上、もし実現するなら幸いだ。 同様のケースでトキとコウノトリが日本の空に復活しつつ ある今、次はキタタキをと切望したくもなる。 新潟県や兵庫県に出来たのだ。 長崎県にもきっと出来 るはずだ。

 絶滅種13種のうち、外国で現存するものが1種(キタタキ)、現存の可能性のあるものが1種、再発 見されたらしいものが1種、存在したこと自体を疑問視されているものが1種あるようで、世界から完全 に絶滅した事が確実なのは4種5亜種と思われる。 勿論、人間によって分類されないまま人知れず絶 滅した種もあったかもしれないし、たまたま日本に飛来した迷鳥がその後二度と飛来しなくても絶滅種 にはカウントされないから、用語の定義次第で数字は違って来る。 トキも日本では絶滅したが、「佐渡 トキ保護センター」で中国産個体が人工飼育・放鳥されており、EWに分類されている。 またコウノトリ は日本での繁殖個体群が絶滅し、「兵庫県立コウノトリの卿公園」などで人工飼育・放鳥されているが、 ごく稀に大陸から野生の個体が飛来しており、CRに分類されている。

 絶滅種のほとんどは島嶼部に生息したもので、日本が離島の領有権を主張するために無人島だっ た所に入植が進んだ結果、人畜による捕食が絶滅を招いた主な原因と考えられている。 確かに180 0年代には小笠原諸島での絶滅が目立つ。 気になるのは、硫黄島や沖縄諸島で1930年前後に観 察されたのを最後に絶滅したケースが集中している事で、誰も指摘しないようだが、原因は太平洋戦 争と考えて間違いないだろう。 この時代に1種4亜種が地上から永久に抹殺された。

 日本の野鳥のうち約2%が絶滅したとされ、約20%がレッドリストに載っている。 最後の日本産トキ 「キン」のDNAは保存されていて、将来クローン技術で復活する可能性はある。 だが、そこまでするに は大変な労力と資金が掛かるし、そもそも人為的に復活したものは純然たる野生の姿ではない。 分 類上も飽くまでEWであろう。 本来こうなってしまう前に手を打つべきであって、取り掛かるのが遅すぎ るのだと思う。 絶滅のほぼ全てが人為的要因によるものと考えられているのだから、裏を返せば野 鳥の保護は何も難しくないはずである。 人為的要因さえなければ、野鳥が自ら絶滅する事はほとんど ないと言えるのだから。 



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