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2009年01月22日 [ 第2回 ]

 カワセミ(雌)

 

 カワセミ(雌)

 分類     :ブッポウソウ目 カワセミ科

 全長     :17.0cm

 翼開長    :25.0cm

 分布     :ユーラシア大陸の熱帯から亜寒帯まで。北海道で夏鳥、本州以南で留鳥。

 食性     :肉食/小魚、蛙、甲殻類、昆虫。

 生息地    :全国の河川などの水辺。 


 DATE(撮影日)               :2008年10月13日

 TIME(撮影時間)              :12時24分52秒

 SHUTTER(シャッタースピード)      :1/160秒

 APERTURE(絞り値)            :F11.2(絞りリングはF4)

 EXPOSURE MODE(撮影モード)    :MANUAL

 FOCAL LENGTH(焦点距離)       :600mm(換算900mm)

 ISO(ISO感度)                :3200

 これがイラストの基にした写真だ。
 スズメ大だが全長のうち嘴の占める部分が長いので、体はスズメより小さく見える。 背中の水色に 光沢があり、遠目にも美しい。 透き通った良く通る声でツーピーなどと鳴く。 小さいながらも肉食性 だ。 カワセミ自体は大阪府や神奈川県でも見た事はあったが、撮影はこの時が初めて。 ここ千葉県 の撮影地は都会の淀んだ小川なので、ダイブして小魚をくわえると折角の美しい羽が薄汚れて、綺麗 な写真は撮れなかった。 また、人口集積地近辺の公園なので結構一般人が散策していて、カワセミ が警戒してしまったうえ撮影にも集中出来なかった。 それでも何とか絵になったのは、この一瞬の為 に延べ何十時間もカメラを構え続けた執念の賜物か。 ISO3200に増感してスローシャッターを切っ たから適正露出になったが、現場は見た目以上に薄暗い鬱蒼とした樹林の中で、背景に写り込んでい るのは川面に反映した樹木や雑草の茂みだ。 被写体までの距離はおよそ十メートル。 本来ここまで 野鳥に寄るのは難しいし、刺激しない為にも出来れば避けたいが、スズメ大以下の小鳥相手にあまり 距離を置くと、まともな絵にならない。 気配を消して、相手が寄って来るのを辛抱強く待つのが最善策 だ。

 ところで、一部の野鳥に対して餌付けが行われている事について、全く手放しで疑問を感じないという 訳ではない。
 既に手遅れとなり国内産が一度絶滅してしまったトキやコウノトリの飼育は、他に方法がない以上最 終手段として止むを得ないとしても、もっと個体数の多い白鳥や鴨にまで安易に餌付けしてしまうの は、生命本来が備えている野生を失わせ、かえって弱体化させる危険性をはらんでいる。 一度人間 に飼い慣らされてしまった動物を野生に戻すのは難しい。 どうしても餌付けせざるを得ない場合でも、 最終的に廃止する事を目標にすべきだ。 また、公園などで餌付けされている鴨の群れの中にはアヒ ルが混じっている場合もあるが、アヒルは野鳥ではなく人間がマガモを品種改良して家禽化した鳥であ り、これが困った事に純粋なマガモと交雑してしまい、元々自然界に存在しなかった変な鳥を産み出し てしまっている。 もしこのまま更に交雑が進むと、純然たるマガモが消滅してしまう危険性がないとも 限らない。 野鳥を保護しているつもりが、いつの間にか自然界を動物園化し、取り返しのつかない状 況を招かないか危惧している。

 さてその動物園だが、お金を払って入園すれば、お手軽に珍しい動物の姿を見る事が出来る。
 動物園や水族館・野鳥園などの動物は決められた枠の中で人間の想定内に収められている。 芸を 仕込まれショービジネスに組み込まれた動物さえいる。 だが全ての入園者に均一の物を提供しようと する限り、ディズニーランドの機械仕掛けの動物と本質は同じだ。 予期せぬ事が起きない、計算され 予定された世界だ。 いかに巧妙に自然を再現したつもりでも、人為的な閉鎖空間でしかない。
 一方、実際の自然界は比較にならないほど広大・複雑で容赦ない。 予測出来ない事が次の瞬間に 起こり得る。 野生動物の行動規範は「生き残り」であり、我々の思惑通りには行動しない。 人間の手 など借りずに生きているのだから、そう簡単には姿すら見せない。 しかし時には野生本来の生態を見 せてくれる。 そこには檻もなければ飼育員もいない。 自分自身が本物の生態系の真っ只中に参入 し、警戒心と好奇心の目に晒される。 このカワセミもまた、こちらをしっかりと視野の中に入れ意識し ているのが分かる。 自然界は、この微妙な間合い、張り詰めた緊張感の様なものが支配している世 界なのだ。



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