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2009年04月20日 [ 第3回 ]

 ウグイス,メジロ

 

 ウグイス

 分類     :スズメ目 ウグイス科(ヒタキ科 ウグイス亜科)

 全長     :雄16.0cm 雌14.0cm

 翼開長    :雄21.0cm 雌18.0cm

 分布     :全国で漂鳥。

 生息地    :笹などの茂る林。

 食性     :雑食/昆虫、蜘蛛、木の実など

 DATE(撮影日)               :2009年4月6日

 TIME(撮影時間)              :09時18分50秒

 SHUTTER(シャッタースピード)      :1/1000秒

 APERTURE(絞り値)            :F11.2(絞りリングはF4)

 EXPOSURE MODE(撮影モード)    :MANUAL

 FOCAL LENGTH(焦点距離)       :600mm(換算900mm)

 ISO(ISO感度)                :1600





 

 メジロ

 分類     :スズメ目 メジロ科

 全長     :12.0cm

 翼開長    :17.5cm

 分布     :全国で留鳥または漂鳥。

 生息地    :平地〜山地の林、農地など。

 食性     :雑食/昆虫、蜘蛛、木の実、花蜜など

 DATE(撮影日)              :2009年4月12日

 TIME(撮影時間)             :16時46分01秒

 SHUTTER(シャッタースピード)     :1/1250秒

 APERTURE(絞り値)           :F11.2(絞りリングはF4)

 EXPOSURE MODE(撮影モード)   :MANUAL

 FOCAL LENGTH(焦点距離)      :600mm(換算900mm)

 ISO(ISO感度)               :1600

 使用カメラ  :NIKON D40

 使用レンズ  :NIKON ED AF NIKKOR 70−300mm1:4−5.6D

           NIKON Teleconverter TC−201 2×

 撮影地    :大阪府



 人間は野鳥に無断で勝手に彼らをウグイスとかメジロとか名付けている。
 彼らは自分達の事を「ウグイス」や「メジロ」だとは夢にも思っていない筈だ。 その様に一方的に呼び 慣わしているにもかかわらず、人間は大いなる勘違いを犯している。その一例を紹介しよう。


 ◆梅にウグイス?

 花札で有名な「梅にウグイス」とやら。
 それも言うなら「梅にメジロ」である。
 野鳥の生態を忠実に表現するなら、「梅にウグイス」など、ほとんど有り得ないガセネタである。 普段 のウグイスは暗い藪の中に身を隠し、昆虫や蜘蛛などを捕食している。声はすれど姿は見えない。 見 えてもせいぜい黒いシルエットのみで、写真撮影は至難の技だ。
 意外に思われるかも知れないが難易度はきわめて高い。 比較的身近な野鳥にもかかわらず、十年 以上も撮影を試みては失敗を重ねて来た手強い被写体なのだ。 初めてまともな写真が撮れたのは、 先日紹介したカワセミの撮影中だった。 偶然同じポイントにウグイスが現れたのだ。
 カワセミを狙って何時間も茂みの中に立っていた所へ、好奇心からか数メートルの所まで寄って来 た。 ただ、まさかウグイスが至近距離に姿を見せるとは思えず、春先以外はチッチッという地鳴きし かしないうえに、よく似た鳥も多いので同定が難しく、図鑑で確認しても信じられなかった。
 ここに紹介した写真は先日大阪で撮影に成功したものだが、どうやら縄張りを主張していたらしく、警 戒時に発する「谷渡り」と呼ばれるケキョケキョという鳴き声を連呼しながら、大変珍しく日向に出て来て 威嚇する様に周囲を半巡してくれた。 ほんの一時的とは言えウグイスが陽の当たる場所に出て来る とは夢にも思わなかった。 生涯初の幸運の瞬間を逃さず撮影出来て本当に良かった。 事程左様 に、ウグイスが梅の木に止まるなど、豚が木に登るようなものなのだ。
 巷の野鳥図鑑には稀にそんな奇跡の写真(勿論豚ではなくウグイスの方)が載っていたりするが、お そらく余程の偶然が重なった瞬間を捉えたものであって、写真としては面白いが本来のウグイスの習 性とは無関係な姿だから、わざわざ図鑑に載せるのは勘違いを助長するだけであり、図鑑として不適 切と言わざるを得ない。 カメラマンにはご苦労さんと言いたい。 なぜ「梅にウグイス」などという誤解 が生じてしまったのかと言うと、ウグイスがホーホケキョとさえずる時期に、メジロが梅の蜜を吸いに集 まって来るからで、姿を見せないウグイスの鳴き声をメジロがさえずっていると人々が勘違いして、その メジロの事をウグイスと思い込んだ為と言われている。 そう言えば花札の絵柄もメジロを描いたもの だ。


 ◆ウグイス色?

 東京の山手線で有名な「ウグイス色」とやらは、明らかにメジロの色である。
 メジロはほぼ雌雄同色で、頭部から背中にかけての上面が黄緑色をしており、喉と下尾筒(尾の付け根 の下側)が黄色、脇腹は褐色、胸から腹は白っぽくて雄には黄色い縦線がある。 そして名前の由来で ある白いアイリングが特徴的だ。 勿論これは白眼ではなく紋様だ。 ウグイスの色は「何色」と形容す ら出来ない様な地味な中間色で、むしろ小汚い保護色だ。 ほぼ雌雄同色で、頭部から背中にかけて の上面が灰緑色掛かって見えるが、美しい「ウグイス色」ではない。 メジロこそがいわゆる「ウグイス 色」であり、それも言うなら「メジロ色」なのである。


 ◆ウグイス張り?

 これもハテナである。
 「ウグイス張り」とは、人が忍び足で歩けない様に、踏むとキューッキューッと音が鳴る様に工夫され た床の事で、知恩院のものが有名だが、ウグイスがこんな鳴き方をするのは聞いた事がない。 メジロ はチューチーなどとさえずるので「ウグイス張り」の音に近い。 ただ、鳴き声の聞こえ方は微妙で人そ れぞれだし、この言葉も比喩的な表現だから間違いという確証はない。


 ◆メジロ押し?

 これは概ね正しい。
 メジロは単独の事もあるが、群れで一本の木に集まる事も多い。 ウグイスは群れる事はなく各々が 縄張りを作るし、そもそも滅多に人の目に触れないので、少なくともウグイスをメジロと見間違えた勘違 いとは考えにくい。 しかしメジロもこの言葉のニュアンス程の大群にはならないし、ずらりと居並ぶ訳 でもないから、あえて例えるなら「ツバメ押し」の方が的確ではある。



 メジロは人間に対する警戒心が比較的弱く、人家の庭先にも姿を見せ、割と近くに寄っても逃げない ので、梅や桜の花蜜を吸う姿が間近で見られる。 ただし小さいうえに動きがすばしこく、一ヶ所にじっ としている事がほとんどないので、撮影は易しくはない。

 ところでメジロのアイリングにはどんな意味があるのだろうか。これは飽くまで自説だが、自然淘汰の 考え方から類推するに、他の野鳥に対する威圧効果ではないかと考えられる。
 実験でも確認されている様に、多くの鳥類は同心円の模様を嫌う。 天敵の猫や猛禽類の目を連想 させるからと言われており、最近の田畑や果樹園では鳥除けにCDをぶら下げている。 アイリングに も同様の効果があっても不思議ではない。 つまり天敵の目に擬態して、餌場で競合するシジュウカ ラ、ヤマガラ、エナガなど、他の野鳥を排斥し生き残る確率が増すという効果があるのではないだろう か。 余談だが、カメラのレンズを向けた途端、野鳥に逃げられる事が多い。 むべなるかな、である。  四角いフードを自作したいと真面目に考えている。 



 野鳥の同定は難しい。
 世界に1万種いる野鳥のうち、日本では542種が公認されている。 他に非公認が104種、人為的 に移入してしまった外来種が26種いるとされる。 同種でも繁殖地及び形態が異なる個体群は亜種に 細分化される場合もある。これらの見分け方のポイントは、色、形、大きさ、鳴き声、飛び方、歩き方、 木の止まり方、分布、季節、生息地、食性、群れ方などで、総合的に比較して判断する。
 色と形は、全身、目、嘴、翼、尾、足などの色、紋様、形状などで特徴をつかむ。 雌雄の違い、夏羽 と冬羽や幼鳥から成鳥への生え換わり、個体差など、同一種でも変化の大きいものもある一方、雌雄 同色で見分けがつかないものもある。
 大きさは、スズメ、モズ、ヒヨドリ、ハト、オシドリ、カラス、トビなどを指標にする。
 鳴き声のパターンは、繁殖期などの季節や外敵の接近などの状況により一様ではなく、声真似をす るものもあるので要注意だ。
 飛び方には、羽ばたき、滑翔、停空(ホバリング)、及びこれらの組み合わせなどがある。
 歩き方は、左右交互、左右同時など。木の止まり方は、枝に水平、幹に垂直、幹に逆さ、茎に垂直、 木に止まらないものなど。
 分布は、広域的には温帯でも、地方に偏りがあるものや、限られた地域でしか観測されていないもの もあり、季節との組み合わせで整合性を見て判断する。
 一時季限定で日本に飛来する渡り鳥は夏鳥と冬鳥、国内で季節移動するものは漂鳥、ほぼ一ヶ所に 留まるものは留鳥、日本を経由して渡るものは旅鳥、通常日本に来ないものは迷鳥だ。
 生息地は、山地、平地、河川、湖沼、海岸などで、高山、低山、林、農耕地、草原、池、河口、干潟、 岩場など細かく絞り込むと精度が増す。
 食性は、肉食、雑食、草食で、更に細かく何をどのように採餌しているかで判断する。
 群れ方は、単独、つがい、群れ、異種との混成集団などで、繁殖期と非繁殖期で変化するものもあ る。
 その他、営巣の形態、尾の振り方やドラミングなど特徴的な習性、縄張り意識や警戒心の強さなど、 性質の違いも参考になる。

 なお、先日紹介した野鳥のうち、当初ノビタキと思った個体はジョウビタキの雌だった。 同じツグミ科 で外見は似ているが、ノビタキは夏鳥なので冬場は日本に居ない。

 季節は巡って新たな野鳥も飛来している。
 その後撮影に成功したもの(太字)も合わせて、大阪で撮影済の野鳥を改めて整理してみると下記の 通りだ。半年足らずで30種に達した。このうちオオタカとハイタカは準絶滅危惧種だ。 但しハイタカは オオタカとの識別が難しく、ハイタカと判断した写真が不鮮明な為、100パーセントの確証はない。

 ウ科:カワウ

 サギ科:アオサギ

 タカ科:オオタカ、ノスリ、トビ、ハイタカ

 キジ科:キジ

 ハト科:キジバト

 キツツキ科:コゲラ

 ツバメ科:ツバメ

 セキレイ科:キセキレイ、セグロセキレイ

 ヒヨドリ科:ヒヨドリ

 モズ科:モズ

 ツグミ科:ツグミ、ジョウビタキ、シロハラ

 ウグイス科:ウグイス

 エナガ科:エナガ

 シジュウカラ科:シジュウカラ、ヤマガラ

 メジロ科:メジロ

 ホオジロ科:ホオジロ、ミヤマホオジロ、カシラダカ、アオジ

 アトリ科:カワラヒワ、シメ

 ムクドリ科:ムクドリ

 カラス科:カケス



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