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2010年01月05日 [ 第38回 ]

 ツクシガモ

 

 ツクシガモ

 分類     :カモ目 カモ科

 全長     :63.0cm

 翼開長    :133.0cm

 分布     :中国地方から九州北部で冬鳥。

 生息地    :海岸、河口など。

 食性     :雑食/海草、甲殻類など。

 レッドリスト :絶滅危惧TB類(EN)

 DATE(撮影日) :2010年1月3日

 TIME(撮影時間) :10時17分44秒

 SHUTTER(シャッタースピード) :1/1000秒

 APERTURE(絞り値) :F11.2(絞りリングはF4)

 EXPOSURE MODE(撮影モード) :MANUAL

 FOCAL LENGTH(焦点距離) :600mm(換算900mm)

 ISO(ISO感度) :1600

 撮影難易度  :★★★★★

 使用カメラ  :NIKON D40

 使用レンズ  :NIKON ED AF NIKKOR 70−300mm1:4−5.6D

     NIKON Teleconverter TC−201 2×

 撮影地    :大阪府 


 とうとうこんな希少種まで撮影してしまった。 絶滅危惧TB類(EN)と言えばレッドリストではイヌワシ などと同格で、数あるカモ科の中でも絶滅危惧TA類(CR)のシジュウカラガンに次ぐ希少性だ。 しか も普通中国地方から九州北部に数百羽しか渡来せず、それ以外の地域では更に希な渡り鳥とされ る。 捕食される危険性のあるカモ科の個体数としては、食物連鎖の頂点に立つ猛禽類以上に危機的 な数字だ。 過去に僕が撮影した野鳥の中でも、放鳥個体もしくは巣立ち個体のコウノトリを別にすれ ば最も希少だ。 近縁のアカツクシガモは情報不足(DD)、カンムリツクシガモは残念ながら絶滅(EX) 種だ。

 川幅のある河川の真ん中に白い鳥らしき姿が点の様に見えた。 周囲にはユリカモメなどの白っぽ い鳥が多かったので見過ごしても不思議ではなかったのだが、念の為に望遠レンズを向けてみた。  撮影しながらも「見た事のないカモだなあ」という程度の認識しかなく、帰宅後に図鑑で調べて初めてそ の凄さに気付いた。 3羽が首を丸めてカワウなどと一緒に休息中だったが、絵的にはつまらない写真 になってしまった。 このあと飛翔中の後ろ姿も撮影出来たが、そんなに珍しい鳥ならもっと撮影してお くのだった。 しかしこういう事もあるからバードウォッチングはやめられないし、念の為に押さえておく 事も怠ってはならない。 よくぞ撮影出来たものだと喜ぶべきだろう。 撮影難易度も星5個とした。

 ところで最近感じる事がある。 驚くほど多種の珍しい野鳥が大阪に飛来し、僕のカメラに納まってく れる。 もしや彼らは何らかのメッセージを僕に託しているのではないかとさえ思うのだ。 例えばツク シガモは例年有明海などに渡来するそうだが、諫早湾が干拓された頃から大阪湾などに分布域をシフ トしたという説があるらしい。 何しろ諫早湾で干拓された面積は摩周湖より広いのだ。 そして大阪で も大規模な公共工事が行われている。 全ての公共事業が駄目と言う訳ではないが、人間中心の環 境整備の実態を目の当たりにしてしまうと傍若無人と感じてしまう。 例えば公園ひとつ整備するにして も、野鳥の事が分かっていないから、小綺麗に下草を伐採しコンクリートで護岸工事をしてしまう。 そ うなるとウグイスもカワセミも繁殖出来ない。 人間の見た目にはすっきりした公園でも、多くの野鳥に とっては住める環境ではなくなってしまう。 実によけいな事をしてくれるものだ。 一様に見える川でも 流れの速い所と澱んだ所があり、自然に深い所と浅い所が出来ている。 どこか寂しげに見える3羽の ツクシガモ。 彼らが羽を休めているのは川の中程の浅瀬だが、例えばもしここが環境アセスメント無 しに浚渫されてしまったら、彼らの休息場所が奪われる事になる。 おこがましい言い方だが、絶滅に 瀕した野鳥が僕の前に姿を現わすのは偶然ではなく、僕を通して言葉を話せない野鳥への関心を高 めさせ、環境破壊への警鐘を鳴らしている様な気がしてならない。



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